今の家で暮らし始めて約2年、今のキャパでやれることは満足したのか、最近は工具を手に持つことも減ってきました。
DIYでいろんなものを作ってお気に入りの家具や家電を揃えてきたおかげで、だんだんと居心地の良い空間ができてきたような気がします。
いいタイミングなので今までやってきたDIYを振り返りながら、どういう考えで空間を作っていったかをまとめてみます。
いわば読むルームツアー的な。
計画-まずは構想の時の話、暮らし方をイメージしてみる。
住んでいる物件は6畳の寝室と14畳ほどのLDKからなる、一般的な1LDK。ただ1階に玄関だけあって、入ってすぐ階段を上って部屋に行くちょっと特殊な構成です。
引越し前、不動産屋さんに連れられた内見の時に撮った写真と、簡単に寸法やコンセントの位置を記録した間取。
メインのLDKは、中央にペニンシュラ型のキッチン(一部が壁にくっついた対面キッチン)が目立ちます。
また、南側にはベランダに出るための大きな掃き出し窓があり、それ以外にも小さな小窓がチラホラと配されていてるのが特徴の部屋。
行為をイメージする
内見が終わり無事この部屋へ住むことが決まったら、どんな暮らし方になるかを想像して間取りにメモしました。
扉や窓の位置から動線はある程度決まるので、「作る・寝る・食べる・くつろぐ」など家の中で行う行為を洗い出して「動詞のキーワード」を並べていきます。
この部屋ではキッチンの南側に大きな窓があるので、必然的にそこのスペースが空間の中心になることがイメージできます。
中央にキッチンがあり動線のことも考えると、実際にインテリアをおけるスペースは部屋の印象ほど広くありません。この部分で、ダイニングテーブル・イス・ソファ・ローテーブル・テレビ台といった一般的なLDK家具を置くとかなり窮屈になりそうな予感。
こんな感じのイメージを抱えながら、具体的なレイアウトを考えます。
家具配置を考える
入居前に書いた絵がこんな感じ。
せっかくのLDKですから、ダイニング的な行為「食べる」とリビング的な行為「くつろぐ」を切り分けて扱うのはもったいないと思い、それを一体にできる設えとしての「小上がり」をここで考えました。
他は、動線を邪魔しない程度に本棚や食器棚を配置していき、あとは実際に生活しながら考えようという計画。
結果-2020年現在の部屋の様子
住む前に考えていた計画を踏まえて、現在の部屋の様子と作ってきた家具を1枚にまとめました。
半分くらいは住む前から作ることを決めていたもの、残りは場当たり的に作っていったもの。全体的に木々しいのは僕がシンプルに木工しかできないからですが、表情がある質感が好きなので、できるだけ素材感を大切にしています。
暮らしながら作っていった部屋の空気感を、1つずつ振り返ろうと思います。
素材感のあるリビング
生活の中心になっている窓辺の場所は、「食べる」「くつろぐ」「寝る」「しまう」・・・とあらゆる行為を受け入れてくれるラフな居場所。
部屋の両側に杉板貼の壁をたてています。壁には棚をつけたりTVをかけたりしていますが、柱をアジャスターで突っ張っているだけなのでそのままだと倒れてくる危険が。
そのため両側の壁を足元を小上がりで繋いだ上で、壁から出したテーブルで支えています。
板壁・小上がり・テーブルを一体で作ることで、構造と機能の両方に効く賃貸ならではのデザインになりました。
縁側のような「小上がり」/板壁に取り付く「壁掛けTV」
何はともかく、うちの主役は南側の壁一杯に1段上がった幅4.8m奥行1mの「小上がり」。2×4のフレームとニトリの縁無し畳で、洋室にもフィットする見た目に。
小上がりの下部はバンカーズボックスが計20個収まる収納も兼ねています。寝室にしか収納がない我が家では重要な役割。DIY工具やガジェット・日用品のストックなど、とりあえずなんでもボックスに突っ込んで終わりにして片付けのハードルを下げています。
くつろぐ時には活躍するのがsnow peakの「take!チェア」。竹とアルミと布でできた軽いアウトドアチェアです。アウトドア用と侮ることなかれ、値段は張りますが下手なソファより座り心地いいです。これに腰掛けて、小上がりに足を投げ出して、TVに繋いだSwitchでゲームをするのが定番のスタイル。
ちなみにリビングにある唯一の既製家具。
自立する「杉板の壁」/壁から生えた「テーブル」
最初にやったことは、部屋の印象を大きく変える壁面を杉の板壁にすることでした。傷をつけても良い壁を作ることで、使い方の自由度が一気にアップ。
板壁の向こう側にテーブルの脚があるので、天板が壁から持ち出しているような見た目に。
チェーンで吊った「ウォールシェルフ」
壁を貼ったところに、余った杉板で棚板を取り付けました。棚受けの金具をつけると下から丸見えになってしまうので、壁からチェーンで吊る方法を取りました。
タオルかけのアイアンバーを上下に取り付けてノートパソコンの置き場にしています。棚板の高さはPCのサイズから決めました。
板で組まれた「イス」
ダイニングチェアとして使っている2脚の椅子は1枚の合板から作りました。シンプルな作り方をテーマに、材料費や工程をできるだけ抑えつつ整ったデザインを目指しました。
食後にそのまま横になれる堕落仕様。人が泊まりに来たときには畳に布団を敷いて寝てもらえます。
デッドスペースには「端材製の棚」
ダイニングテーブルとキッチンの間に少し窪んだ場所あって、微妙なデッドスペースになっていました。壁を作った時の端材を利用して小物が並ぶ棚を置いています。
出番の多いカメラやレンズ・三脚を並べています。他にも文房具や薬・マスクなど頻繁に取り出すけど出しておくと散らかって見えるものは、100円ショップのマチあり封筒に入れて収納しています。バンカーズボックスよろしく、雑多なものは見た目を揃えて並べると片付いたように見えます。
ひっかけの多い「コート掛け」
服やカバン・帽子を掛けておくためのコート掛け。30mm角の棒材と1枚の板を相欠き組みで作りました。こいつのせいでジャケットやカバンをあまり収納に片付けなくなっています。
コートやカバンのように大きさが違うものを掛けた時バランスが良くなるように、それぞれの高さを設定しています。
コーヒーのためだけの「スタンドテーブル」
毎日のコーヒータイムを楽しむために、コーヒーを淹れることに特化したテーブルを作りました。豆のキャニスターやお湯を沸かすコンロを天板に埋めんでスッキリとしたシルエットに。コンロは「コベアキューブ」というカセットコンロで取り外しても使えます。
キャニスターはアルミの缶のフタに、樹種の異なる薄い板を貼分けて豆ごとに分けて保存しています。
DIYキットを応用した「キッチンラック」
キッチン側の壁には、シンプソンというツーバイ材に特化した金具メーカーが出している「テーブルDIYキット」をアレンジして食器棚を作りました。金具の無骨なテイストが良いアクセントに。
キッチン家電って、際限なく増えていく気がしますがその分QOLは上がっていく。ホームベーカリーや米びつなど、増えたものに合わせて食器棚を増設しました。集成材を使ってシンプルに。
飾り棚のある「壁面本棚」
部屋の一角に、いかにも本棚を置けという窪みがあったので、ぴったりのサイズの本棚を作りました。上部は可動棚・下部は飾り棚にし、絵本や写真集など表紙が映えるものをディスプレイできるようにしています。
本を並べるときは大きさ別にグルーピングするようにしています。まとまり毎の隙間を多少開けて並べると、本が増えた時に差込やすく、適当にドライフラワーなんかを飾ってあげると良い感じ。
本棚の下にはシナベニヤを貼ったキャスター付のゴミ箱を隠蔽。缶びんペットボトルや、段ボール・古紙古布など目につかせたくないゴミを隠しています。
シンプルな寝室
寝室は油断すると酷い散らかり方をするので、できるだけシンプルにしたいと思っています。
ベッドは無印の「脚付きマットレス」。シングルサイズを2つを並べて上からキングサイズのシーツカバーを掛けています。脚をバンドで結んでいるので離れてしまうこともありません。
大きいベッドは良い、とても良い。夫婦で寝ていて狭いと思ったことはありません。寝返りで迷惑もかけません。ちなみに掛け布団はそれぞれシングルを使っているので取り合いにもなりません。
ギミックのある「ミニデスク」
ベッドの両脇に横にちょっとしたモノを置けるように、シンプルなデスクを2つ作りました。奥行き300mmとデスクとしては浅いですが、ちょっとしたギミックを。
欠き込みを入れておくことで、2つ合わせると小上がりにハマるような工夫を。
ダイニングテーブルが拡張され、10人ちょっとで机を囲めるようなパーティーモードに。
フレキシブルな「ボックス積み本棚」
先ほどの本棚ではちょっとずつ収容量が物足りなくなってきたので、本棚新しく増やしました。モジュールを揃えて作ることで、色んな使い方ができる本棚に。
コロナの影響で増えたリモートワーク。リビングでは仕事モードにならないので、ミニデスクで仕事をしていました。その時はボックスをデスクに積んで即席のスタンディングデスクに。
リラックスする時には1つだけ持ち出して、サイドテーブルとして使うことも。
アートを引き立たせるDIY
家具以外にもDIYで作ったものがいくつか。絵や花がキレイに見えるよう、ベストな飾り方を考えて作ったものたち。
“いわさきちひろの”「ギャラリー」
“いわさきちひろ”という絵本作家が夫婦で好きで、安曇野の美術館に行った時に大量のポストカードを衝動買い。そのポストカードをキレイに飾るための額を作りました。スチレンボードと画用紙で作った自由度の高いDIY。
花が映える「額」
長く楽しめるドライフラワーの中でも特にキレイに乾燥したものを飾るために、木枠の額と一輪挿しを作りました。部材の接着は両面テープ、花はグルーガンでくっつけたお手軽DIY。
まとめ
何作ろう、どうやって作ろう、って考えてる時がなんだかんだ1番楽しいかもしれません。
今は満足していますが、暮らしていく中でまた「あれ欲しい」「これやりたい」っていうのがまた出てくるんだろうなと想像がつきます。
家具の値段をおさえるためのDIYというよりは、「考えること・作ること・使うこと」全部を楽しむためにDIYという手段をとっているのだと思います。
大学で建築を勉強していた時に、実際の空間やプロダクトを施行する木工チームに入っていました。僕の木工知識はそこで経験したものから。
でも家でやっているDIYはインパクトドライバーと手ノコがあればなんとかなるもの。すべての作業を、尋常じゃなく狭いバルコニー とリビングで木屑を撒き散らしながらやっています。
それぞれの記事では、材料から寸法・作り方を詳しく説明しています。図面を載せているものもあるので、ぜひ見てみてください。