dripの靴磨きセットで革靴を愛でる話

dripの靴磨きセットで革靴を愛でる話

2018年7月29日

最近まで靴にはほとんど興味がない人間でしたが、ちょっと奮発して革靴を買ったら意識が一変。靴磨きが楽しくなるくらい靴を愛でるようになりました。

僕は元々スニーカー1足しか持っておらず、紐を結んだままの靴に足を入れ、つま先でガッガッ!と地面を蹴って履くワイルドスタイルを貫いていました。

半年くらい使い続けて履き潰しては、新しいのを探すという生活。

最近になってようやく「これは靴にも財布にも足にも優しくないのでは?」という真理に気づきます。

愛せるものは大切に扱える

僕が今まで靴を履き潰し続けてきた最大の理由は、自分の靴を愛していなかったから。というよりもそもそも興味がなかったのでしょう。
服と合わせて違和感なく、ABCマートで買える5000円程度のスニーカーならなんでもいいかなくらいの感覚でした。

社会人になった時、ちゃんとした靴を手に入れようと思い、「スマートな大人の男は革靴を履くもんだろう」という気持ちだけで春に革靴を買いました。

PADRONE(パドローネ)というブランドのすごくシンプルな革靴です。
ビジネスシューズ特有のあのピンっと尖ったつま先やギラギラと光る光沢がどうにも苦手で、マットな質感かつ装飾が何もなくカジュアルにも履けるこの靴を選びました。

約3万円と今までにないお金を靴に出しましたが、これが正解。
靴に対して初めて愛情が芽生えることに。

愛着のあるものはどうにも雑には使えません。革靴を大切に使うために、他にも玄関のメンバーを揃えようという気になり、雨の日用の防水靴や、たくさん歩く時のためのスニーカーと、「革靴を長く使うために」他の靴を買うという状況に。

また、革といえば自分で使いながら育てていくもの。まさに靴磨きなんかその筆頭にある行為。革靴を愛するなら靴磨きの道具も揃えねば!と靴1つから物欲の連鎖が止まらない

量販店に行くと大体シューズケアコーナーがあって、色んな道具が売っています。ただ僕は何も調べずに知識丸腰状態で売り場に行ったので、何を買えばいいのかわからず立ち尽くし、結局防水スプレーだけ買って帰ってしまいました。

うーむ、と悩んでいた所、いつも読んでいるブログDRESS CODE.を読んでいると気になるバナーを発見。

「初めての靴磨きセット」なるものを発見

これから靴磨きを始める人向けの一式セットが、なんとおあつらえ向きな商品。しかもdripさんからの発売で、革小物のイベントでちょっとお話しをした社内靴磨き屋の小東さん(@k_leather_lover )の監修…!これは買うやつやんけ!とすぐに購入ボタンを押しました。
今日から始める靴磨き。未経験者のための「初めての革靴磨きセット」ができました。

・シューキーパー
・おっきいブラシ2本(磨くやつ)
・ちっちゃいブラシ(クリーム塗るやつ)
・クリーム(色補充するやつ)
・ステインリムーバー(汚れ落とし)
・古着をカットした布
・オリジナルマニュアル

以上が入って、約5000円

え?、と。

量販店で見たとき、ブラシが1本2000〜3000円くらいしてたし、クリームも1000円以上はしてたと思います。普通に単品で揃えるともっと遥かにお金がかかるはず。
どれだけ良心的なんだと、これで利益が出てるとは思えないですし、もしこれが利益度外しでdripファンをつくる為の政策だとしたらまんまと術中にハマっています。次の第2弾が来たら買うもんな、どうせ。

磨いてみた

実際に磨いてみます。
僕はこれが生まれて初めての靴磨き。マニュアルを横にしながら丁寧に靴紐を外すことから始まります。

しかしこのマニュアルがよくできています。ページ数も抑えられていて、要点とコツが綺麗な写真でまとめられています。
読み込んでから試すというよりは、やりながら読んで行くのに丁度いいボリュームの冊子。これだけpdf配布でもお金を払ってしまいそう。

1日歩き回って頑張ってくれた革靴をブラシにかけていきます。まずは一番大きいブラシで汚れや埃を払います。色々試しながらリズムよくブラシをかけられる持ち方を探ります。

次にステインリムーバーというクリーナー?を布に染み込ませて靴の表面についた汚れをとっていきます。買ってからそんなに日が経ってないので、そこまでかなと思ってましたが、いざ布で拭ってみると案外汚れているもの。

dripのお二人の古着をカットしたおしゃれ古布がどんどん黒ずんでいきます。これは若干勿体無いことをしたのでは?と手が止まりましたが、これはそのためにわざわざカットしていただいた布なんだと思い、割り切って汚していくことに。すっかり黒くなってしまいました。

まだ買って数ヶ月、履いたのは10回ほどの革靴ですが結構汚れているんですね。これからは帰宅後のブラシはマスト

靴の汚れを落としきると、次は栄養補給。色付きの黒いクリームを塗り込んでいきます。使うブラシはペネトレイトブラシという小さいブラシ。こんな道具があるんですね。つい口に出したくなる。ペネトレイトブラシ。小さくて小回りが利くので、細かいところにもクリームが届きます。

これを塗って行くと明らかに手触りが変わる、乾燥肌からしっとり肌になったような感じ。やっぱり革って生き物から作られているんだなあという実感があります。クリームを塗ると、こすってちょっと傷がついたソールも目立たなくなっていい感じ。

全体にクリームが行き渡ったら真ん中のサイズのブラシでならします。余分なクリームがとれて均一になじませられる感じがします。

最後にもう一度布で念入りに拭き取ります。こするとまだ残っていたクリームがとれて布が黒くなります。布は汚れてしまいますが気にせず磨いて行くと靴に少し光沢が。

靴が喜んでいるような気もします。

瞑想のような時間

両方の靴を磨いてだいたい20~30分くらいでしょうか。マニュアルを読みながらだったので、慣れるとそんなにかからないと思います。

初めてやった靴磨きでしたが、感覚としては瞑想をしているような感じ。余計なことを考えたり、ぼーっとするわけでもなく、ただ目の前の靴を磨く。テレビも音楽も流さず、ザッザッというブラシの小気味よい音が耳に残る。自然と心が落ち着いて行くのがわかります。靴が綺麗になるという以上に、この時間の過ごし方がものすごく豊かでした。

靴と長く付き合って行くために行う靴磨き、しかしやってみるとこの作業自体が楽しい行為でした。

シャツのアイロンかけ、木材のヤスリがけ、部屋の掃除も好き。
モノを愛でる作業はたいてい好きなんです。

靴を買って芽生えた愛が靴磨きという行為によって、より大きく膨れ上がりました。きっともう履きつぶして簡単に捨ててしまう靴は、僕のもとからは生まれません。

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