朝の寝ぼけた頭を起こすために、毎朝熱いコーヒーを飲んでいます。
朝ごはんが米だろうがカレーだろうが、たとえ寝坊して朝食抜きだとしても、1杯のコーヒーを飲まないと1日が始まった気がしません。家を出て職場についても、PCを起動させながらお湯を沸かしてマイカップにコーヒーを注ぎます。
そんなカフェインに行動を支配されている僕ですが、不思議なことに今まで肝心のコーヒー自体にはそんなにこだわりがありませんでした。缶コーヒーも飲むし、基本インスタントだったと思います。ここ2年くらいは、楽にいれられるネスカフェのバリスタをリースしていました。
その感覚がちょっと前に、奥さんのお父さんからハンドドリップの道具セットをいただいてから一変。自分で選んできた豆をミルでゴリゴリ挽いて、少しずつお湯を注いていれたコーヒーの美味しさに驚きました。
手間なのは手間だけれど、一連の行為がセットとなってコーヒーそのものを楽しめるように。
今までカフェインの効能だけを求めて飲んできたコーヒーに、こんな体験があったなんて。リースしてたバリスタはすぐに返してしまって、みるみるハンドドリップにハマっていきました。
僕はちょっと好きになったら、すぐにこだわりたくなる性分。しかも形から入るタイプです。
いつもキッチンで作っていたコーヒーですが、専用のスタンドテーブルを作ってしまいました。
これが計画イメージ、以前つくったパイン材のミニテーブルの形を転用して、お湯を沸かすコンロや、豆を保存するキャニスターを天板に埋め込んだテーブルを考えました。
それぞれの部材と組み立てのイメージはこんな感じ。天板の加工のハードルはありますが、造りは割とシンプルです。
基本的な材料は18mm厚のパイン集成材で作り、補強として30mm角のSPFを入れた構成。
テーブルの加工図面です。事前に寸法をしっかりと決めて図面を書いておけば、DIYでもイメージ通りに作ることができます。
寸法を出して材料を拾えば、買い出しで余計に費用がかかることも作っているうちに足りなくなることもありません。いつも制作の時間よりも、遥かに時間をかけて設計します。
制作に入りますが、大きな作業の前にまずコーヒー豆を保存するキャニスターを用意します。
ダイソーにあったアルミのキャニスターに合わせて木板をカットし、接着剤でフタに貼り付けます。
フタに貼り付けたのは5mm厚の無垢の木板。新宿の東急ハンズに売っていて、いろんな樹種が同サイズで売っています。そこから3種類別々の板をチョイス。何の樹種だったかは残念ながら忘れてしまいました。
接着中はクランプでガッチリ固定します。およそ15分くらいで動かなくなり、1時間もすれば素手ではどう頑張っても外れないようになります。
キャニスターができたら、メインのテーブル作り。集成材は今回も例によってホームセンターで事前にカットしてもらいます。
木材のカットをするとき、大切なのは木目の方向。集成材や無垢材は、木目の方向で反り方や強度が変わるので注意します。木材を垂直に(縦に)使用するときは力のかかる方向に、水平に(横に)使うときは長辺に平行になるようにカットします。
単純なカットはホームセンターに頼めますが、穴あけのような加工は自分でしないといけません。
キャニスターがハマるように、天板に線引きをして行きます。
天板に100mm角の穴を開けます。まず四角の内側ギリギリにドリルで対角に穴を開けます。
ドリルで開けた穴に、ジグソーの刃をいれて穴を繋ぐようにカットします。
ジグソーの直線カットは結構難しいです。特に、木目に逆らって切るときは刃がブレがち。どうせ後で微調整をする必要があるので、線より少し内側に余裕を持ってカットします。
穴が開けました。まあまあひどい仕上がり。
ここからノミとヤスリを使って整えます。ぶっちゃけこの作業が今回のDIYのピークであり一番大変な作業。ずっと屈んで手作業で微調整をするので、僕はここで腰をやりかけました。
先に用意したキャニスターのフタがちゃんとハマるかどうか、キツすぎず緩すぎずのラインを目掛けて確認しながら調整を繰り返します。
フタが入ったら手かけを作ります。
親指と人差し指が入るくらいの18mm × 15mmのくぼみを作ることにしました。
貫通させるわけではないので、ノミで削って行きます。
小さいノミを使えば思ったより簡単にくぼみを作ることができます。
これでキャニスターの開閉ができるようになりました。
3箇所とも同じように加工します。ここまでできれば今回のDIYは勝ったも同然。
フィルターを差し込むための穴も開けます。ここはなんとなくでOK。
次に用意したのは韓国製のカセットコンロ「コベアキューブ」という商品。
シンプルな作りとステンレスのすっきりした見た目から、アウトドア好きの方の中では割と有名なようです。ボンベもジュニア缶を使用すれば本体の中にすっぽりとおさまってくれます。レビューでは火力が少し弱めという意見も見られましたが、屋内でお湯を沸かすだけなので問題ありません。
カセットコンロの大きさに合わせて欠き込みをします。先と同じようにドリルで穴あけ→ジグソーで大まかカット→ノミで調整の流れ。
こちらもキツすぎず緩すぎずの状態になればOK。これで天板の加工は終わり。後は組んでいくだけです。
足元の補強材と底板はアングル金物を使って固定します。
床に寝かせてやると1人でもビス留めができます。
本体に合わせながら補強の斜材を加工します。これが1本入ると格段に強度が上がりぐらつきがなくなります。
底板に仕切りの板と面材、コンロを設置するためのスペーサーを固定します。ここの固定は構造には直接関係しないので、キャニスターと木の板を貼り合わせた時に使ったボンドで接着します。
天板を乗せると形が見えてきました。
天板と側板をビス留めします。見栄えを良くするために、外側に露出するビスは基本的にダボ埋めしてビスを隠します。
僕は横着なので、組み上げてからヤスリ掛けと塗装を行うことが多いです。多分先にやっておいた方が仕上がりはキレイだと思います。
ヤスリも240番程度までしかやりませんでした。塗装は安定のオイルフィニッシュ。
全体がナチュラルな木の色だと多少やぼったい印象があったので、小口にはアイアンペイントの塗料を塗って箱が乗っている感を強調しました。
コンロを設置してみました。コンロを乗せるためのスペーサーは高さ30mm、これはキャニスターの高さからくる数字です。
キャニスターがフタの木板含めて高さ110mm、コンロが高さ80mmだったのでスペーサーは差分の30mm、ちょうど良かったので補助剤のSPFの余りを使いました。
キャニスターとフィルターも設置。
フタの木板もオイル塗装を施すといい色になりました。フタの木目方向と天板の方向を揃えると思ったより馴染んでくれます。
3枚のフタをそれぞれ違う樹種にしたことで、いい感じに色の濃さに差が出てくれました。
Twitterでフタの濃さは豆の焙煎度を表しているんですか?という質問をいただきました。そこまでのことは考えていなかったのですが、いいアイデアなので焙煎違いを変えて豆を入れてみています。
かわいい。珈琲豆を入れる蓋の色は焙煎度合いを意味しているのでしょうか?凝ってますね。
— shiro (@ki460) January 13, 2020
最後に中央に引き出しを作ります。なんでもいいですが余っていたベニヤで箱を作って、面板をボンドで固定しただけの簡易的な木箱です。
木箱は引き出しが入るスペースから4mmほど小さく作ると、両側に2mmずつのクリアランスができるので開閉が楽になります。
引き出しの取手には真鍮のハンドルを用意しました。プッシュラッチにして、面をすっきりさせる見せ方も考えましたが、今回は取手をつけてあえて引き出しの存在感を演出しました。
引き出しの中央あたりにとりつけます。
使っているうちに手の脂で色がくすんでくるはず。エイジングが楽しめる素材は使う楽しみが増えます。
中身はこんな感じ。予備のボンベやメジャースプーン、掃除用のブラシなんかを入れています。
これで完成。天板の加工ができてからはあっという間に終わります。
写真を撮り損ねてしまったのですが、テーブルに収納できるベンチ兼棚板を作りました。テーブルと同じ集成材のみで作っています。
普段は写真のようにポットやミルのような道具を置いておく棚として使い、
引き出せば座れるようにしています。
引き出す時に手がかけられるように、ベンチの裏側には取手を付けています。
テーブルの奥行きが300mm、そこに補助部材30mmがあるのでベンチの奥行きは270mmになります。
出来上がったので、早速コーヒーを入れてみます。写真では分かりづらいですが火がついています。
使っているポットは月兎のポット。大きさがちょうど良く、フォルムがレトロですごく好みです。
火を使っている最中も、コンロの周りは思ったより熱くなりませんでした。長い時間火を使わない時はボンベは外すようにしています。
お湯を沸かしている間に豆を挽きます。ゴリゴリと心地よい音が部屋に響きます。
お湯を注ぎます。ハンドドリップを始めてからまだそんなに日がないので、ドリップはまだまだ下手。youtubeとか見ながら上手いいれかたを勉強中です。
まだうとうとしている中でミルを回し、トーストを焼いている時間でドリップをするのが最近の朝のルーティン。
毎朝の朝食がグッと豊かになった気がします。
今は1LDKの部屋に2人暮らしなのでキッチンを拡張するように設置していますが、将来自分の書斎ができたらそこに持っていって1人でゆっくりコーヒーを楽しめる空間をつくってやろうと目論んでいます。
材料費はベンチ含めて集成材のサブロク板が2枚とSPF1800mmが2本、木の板とダイソーのキャニスター、カセットコンロで合わせて18000円ほど。作りはシンプルなので安く仕上がったと思います。
図面と冒頭のイメージパースのPDFリンクを貼っておきます。図面はA3で印刷すると1/10の縮尺、定規を当てて数字を10倍すれば実際の大きさになります。
関連:今回のカタチのもとになったテーブルはこちら
コの字形の板に補助の角材を取り付けたシンプルなミニテーブルが今回のテーブルの構造のもとになっています。一瞬で作れる割にしっかりした机になるのでおすすめです。