レジ袋が有料化した2020年の夏。数円でもかかると言われたら、つい「要らないです」と言ってしまうのが人の性。
その是非はさておき、なんとなくエコバッグを持ち歩くことが当たり前になりつつある気がします。
僕も2年ほど前からエコバッグ代わりの小さい手さげ袋を持ち歩いていました。特にエコを意識していたわけではありませんが、どうせすぐに捨ててしまうレジ袋を毎回もらうのはなんだか勿体ないなぁと思っていたところに、たまたま好みのプロダクトに出会ったことがきっかけです。
レジ袋が有料化になってから、目に見えて便利だと思うことが増えたので今回はそのご紹介を。
500年の歴史をもつ松阪木綿
丸川商店という、伝統工芸品である松阪木綿を使ったプロダクトを扱うブランドの「しじみ」という手さげ袋です。
松坂木綿とは、三重県松阪市で生まれ江戸時代に大流行した、無形民俗文化財に登録されている歴史ある織物で、最盛期は江戸の人口の半分に相当する量を年間で売り上げていたそうです。
藍染めの美しい青さと、目を引く縦縞模様が松阪木綿の代表らしく、人形町の「生活道具屋 surou n.n」という雑貨屋さんで一目惚れしてしまいました。
ミニマルな現代の風呂敷
これは大小2種類あるうちの小さい方で、決して大きい袋ではありません。
空っぽの時は折りたたんでポケットに入れていて、ちょっとしたお菓子やおにぎりを買った時にさっと入れたり、お昼休みに外に出る時には財布と文庫本だけ入れてみたり、ふとした時に役に立つサイズ。500mlのペットボトルははみでます。
可愛らしいフォルムで、左右のハンドルが不揃いなのがデザインの特徴。
長い方の持ち手を短い方に通すことで、口が閉まります。この時の形が「しじみ」の名前の由来だそう。
チャックや留め具はなく、柔らかい木綿が中のものにフィットするデザインは、まさに現代の風呂敷。
触った感触で「あ、これは本物のいい布製品だ」とわかる手触りで、気持ちの良い柔らかさがあります。
縫製も流石の丁寧さで、2年たった今もほつれ一つありません。
テンションを上げてくれるデザイン
レジ袋もそうですが、よくあるエコバッグのシャカシャカした特有のビニール感がちょっと苦手で、布製品や革製品のように使っていくうちに味が出てくるような「表情のある素材」が使っていて心地よく感じます。
この「しじみ」も使っていくうちにちょっとずつ色が変化していて、それが使っていて飽きない理由の一つ。
お店で選んだ時も数種類ある柄の中から「縦縞」を選び、また同じ縦縞でも少しづつ表情の違うものから、自分の好みに合うものを選びました。
使うことで愛でられるものを持つことが、ものを長く使えるポイントがと思います。
値段は4000円強と、可愛いとは思えませんが、伝統織物をこれだけ気軽に使える製品にはなかなか出会えません。
「しじみ」を手に下げて歩いていると、中身がコンビニのおにぎりでもなんか上品さを感じます。
レジ袋を持っている時とは気分が全く違っていて、持っているだけでテンションを上げてくれる製品だと思っています。
経済的には「エコ」ではありませんが、こういうちょっとした持ち物で少しづつ自分の気分を高めていくことが、回り回って自分のためには「エコ」になるんじゃないかなと思っています。