ほぼ毎日、お米を食べて生きています。
土鍋でお米を炊く生活にも憧れますが、炊飯器を使って2日に1回は炊いています。日本人の家庭の大半はきっと似たようなもん。
でも、お米の保存については割とバラバラなんじゃないでしょうか。
僕は一人暮らしの時は買ってきたお米の袋のまま、開け口をクリップで留めていました。知り合いにはタッパーに入れて冷蔵庫に入れるという人もいたし、実家では謎の壺みたいなものに入れて保存していました。
シンク下の収納で保存している人も多いかと思いますが、そこは実は湿気が溜まりやすい場所。
しばらくお米の保存方法に悩んでいた時に出会った「米びつ」。1年ほど使って、暮らしにも馴染んできたのでご紹介。
約20cm立方のシンプルかつマッシブな外観
ぱっと見、このなかにお米が入っているとは思えないかもしれません。
この米びつを作っているのは、増田桐箱店という昭和初期に創業した老舗の工房で、古くから美術館や博文館で文化財などの作品を保存するための桐箱を作っていたそう。
その技術を応用し、近年はデザイナーと協働しモダンなデザインで現代のライフスタイルに落とし込んだ製品を生み出しています。
この米びつに使われている木材は「桐」。軽く精密な加工が可能で、昔ながらの家具によく使われ「桐タンス」という言葉は比較的メジャーかと思います。
桐の特徴は、防虫効果があり、多孔質で空気を含むため断熱性能が高く、その孔が中の水気を調節してくれるため、洋服の収納などに多様されてきました。
お米の保存に大切なのは湿度。水気があったり、窓際で直射日光が当たったりする場所で保存していると、カビや虫が発生するそうです。
それに対して「桐」はうってつけ、中の温度も湿度も一定に保ちながらお米を守ってくれる木箱です。
僕が使っているのは5kg容量(W215mm × D215mm × H242mm)のサイズで、夫婦二人暮らしでのお米の保存としてはスタンダードなモデルです。
本来は「米びつ」とは冷暗所にしまっておくのがスタンダード。外観に拘ったプロダクトは少ないですが、この米びつなら、キッチンの特等席に置いておきたくなります。
職人の技術による気遣いのデザイン
増田桐箱店の米びつの特徴は、随所に見られる「使う人を気遣ったデザイン」です。
桐箱を専門に扱うお店ということで、その加工は流石の美しさ。どこを見ても抜群に丁寧なディテールです。
まずは上部から。
ストンと内側に一段落ちていることが、全体をスッキリとした印象にさせている気がします。
これを面一にすると、逆に持ち手の出っ張りが目立ってマッシブな見た目が損なわれそう。
特徴的なアクリルが窓になっていて、中のお米が覗き込めるようになっているので、蓋を開けなくても残量が分かります。
でもこのデザインも、意匠のためだけではないことが底部を見ると分かります。
横から見ると底に段差があり、家具で言う「台輪」のようなものがあります。
そう、この米びつはスタッキングが可能。
白米の他に玄米や五穀米なども常備する家庭なら、もちろん保存容器もその数必要。増田桐箱店の米びつはサイズ違いの1kgや3kgの箱でも、縦横の寸法は同じなので重ねておいておく事ができる仕様です。
こういった、意味があるデザインが好き。
蓋の裏側には「四方桟(シホウサン)」という桐箱独自の技術が使われています。
四方桟は、内部でかかっているので箱を傾けた時に蓋がずれる事がなく、気密性が高いことが特徴。
内側に枠状の部材がついていて、この部分が内側にピッタリ収まる造り。
上に軽く重ねると自重でスッと落ちていくのが気持ちよく、加工技術の高さが伺えます。
また桟には小さな切り欠きがされていて、一時的に箱にひっかけておけるような設え。
キッチンの周りには水気が付き物。蓋を別の場所に置いた時に、思わず濡れてしまうなんて事故が起こらないようになっています。
計量のための1合が量れる「升」も付属していいます。(これも桐!)
一瞬気付きませんが升と蓋の裏にそれぞれマグネットが仕込まれています。
升と蓋がくっついてくれることで、お米の中に升が埋まってしまうことがない工夫。
唯一の飾りポイントは、「KiriHaco」と書かれたブランドロゴの焼印。
まとめ
全てに意図があって、無駄のないデザイン。
一つ一つの使い勝手に対して気遣いの感じられるプロダクトは、本当に気持ちよく使えます。
僕はこれを二子玉川の蔦屋家電で見て衝動買いしましたが、贈り物なんかに良いかと思います。
知り合いが結婚や1人暮らしを始めたら、この米びつを送り付けて蓋がスゥーっと落ちていく体感をして欲しい。